2016/08/19

『Long Way North(Tout En Haut Du Monde』英語版公式サイトとtwitterアカウント




 当ブログ2016月3月30日付け記事でご紹介した、フランス・デンマーク合作長編アニメーション映画『Tout En Haut Du Monde』が、英語題『Long Way North』として、来月9月30日にアメリカで公開されるとの事で(→cartoonbrew2016年8月13日付け記事)、英語版公式サイトが出来ていました(→こちら)。主人公サーシャさんのtwitterアカウントも(→こちら)。


▼Long Way North Movie
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▼Sacha(@LongWayNorth)さん | Twitter
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 英語圏で上映されると、日本公開への道のりがぐっと近くなるように思うのですが、興行関係者の皆様、いかがでしょうか。是非ご検討を!


(最終更新日:2016年8月19日)

2016/08/18

『Sabogal』TVシリーズ、YouTubeで配信


 当ブログ2016年08月11日付け記事でご紹介した、コロンビアのTVアニメシリーズ『SABOGAL(サボガル)』。予告通り、8月13日から第1シーズン全13話をYouTueで配信開始。1話ずつ順次公開していくのかと思いきや、いっぺんに全話が配信されていました。



 やはり、セリフがごくわずかしか聞き取れず悲しい…(泣)。今日から開催される広島国際アニメーションフェスティバルでは日本語字幕付きの映画版が上映されるのですよね。見に行かれる方が羨ましい…。思えば、同フェスで上映される『O apóstolo(使徒)』も、2013年12月にセルバンテス文化センター東京で上映されたのですが(ガリシアを舞台にした映画を上映するイベントがあり、その上映作のひとつ。→サイト→作品紹介ページ)、英語字幕+上映後は西語でディスカッションだったので、内容があまり掴めなかった(当時のツィートは→こちら→こちら、大したことがつぶやけていなくて、お恥ずかしい…)ので、日本語字幕付きを見られる方々が羨ましいです。東京近郊に住む者が日頃の地の利を棚に上げて羨ましがるのも何ですが…。


 閑話休題。『SABOGAL』TVシリーズはCanal Capitalも以前からYouTubeに全話配信していて(→こちら)、再生時間の長さが倍なので、何処まで同じ内容なのか、すぐには分からないのですが、こちらは自動生成のスペイン語字幕が表示されるので、この字幕は必ずしも正確に生成されていないかも知れませんが、聞き取りのヒントにしたいと思います。また、画面に何らかの文字が表示されたら、再生を止めてメモして辞書を引こうと思います。


 手始めに第1話から幾つか…。
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▲番組が始まる前のアナウンス画面。(拙訳)次の番組は、テレビ放送国家機関のTV放送とコンテンツの発展を目的とした基金からの財源による出資を受けている。

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▲番組冒頭の断り書き。(拙訳)「サボガル」は架空のオーディオビジュアル作品である。事件、場所、名前、人物は、表現されているシチュエーションと同様、作者達の想像の産物である。存命或いは亡くなった人物達が巻き込まれた実在するシチュエーションと類似するものは、いずれも偶然の一致である。

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▲第1話に2回出て来る落書き。(拙訳)明かりを消すのは、この国から去る最後の者…。


 …落書きされた文字が意味深ですが、弁護士フェルナンド・サボガルとその妻マルセラは、立て続けに起こる人権侵害事件の為に、国外へ逃れる事もままならないという状況なのでしょうか。3DCGアニメが現在の出来事、2Dアニメが過去の出来事として表現されていると思われます。2Dアニメパートにはショッキングなシーンがあります。そして実写パートは現存するビデオを元にしているのでしょうか。このTVアニメシリーズ、対象年齢がかなり高めだと思うのですが、近年のコロンビアの事情を反映しているとすれば、それはとても厳しい事だと思いました。


(最終更新日:2016年8月19日)

2016/08/11

『Ping Pong Rabbit(无敌乒乓兔)』トレーラー、ティーザー



 『ピンポン・ラビット』なのに動画タイトルの綴りが「ping-pong rabbit」とならずに『PingPang Rabbit』となっているのは、中国語のピンポン「乒乓球(ping1pang1qiu2)」のピンイン表記を用いているからなのでしょうか。この映画に興味を持ったので、ちょっと調べてみました。中国語の題名は『无敌乒乓兔(日本語の漢字にすると、無敵卓球兎)』で、制作が中国の「Mili Pictures(米粒影业)」、プロデューサーが『ハイスクール・ミュージカル』や『カンフーハッスル』等のプロデューサー、ビル・ボーデン、監督が『コープスブライド』で共同監督を務めたマイク・ジョンソンと、『龙之谷(Dragon Nest)』の宋岳峰(Yuefeng Song、ソン・ユエフォンと読むのかな…)という、中国と米国の合作映画という理解で良いのでしょうか。(参考→映画.comMili PicturesMM52.com


 中国の「bilibili.com」にUPされていたティーザーもまた、中国の風情が感じられました(動画へのリンクは→こちら。中国国外からのアクセスだからなのか、動画の貼り付けが出来ませんでした)。2017年公開予定だそうですが、完成作が見たいです。
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ところで「无敌乒乓兔」で検索すると、動画がもう一つ出て来ました。こちらはプロトタイプなのでしょうか。おいおい、調べていこうと思います。


(最終更新日:2016年8月11日)

『サボガル(SABOGAL)』『Las Niñas de la Guerra』トレーラー、ティーザー

 今度の広島国際アニメーションフェスティバルで上映されるコロンビアの映画『サボガル』というのは、コロンビアのTVシリーズの映画版なのでしょうか。8月13日から第1シーズンをYOUTUBEで配信開始で、その日はハイメ・ガルソン(冒頭のエピソードのモデルとなった、喜劇役者でジャーナリスト。→西語版wikipediaにはもっと沢山の肩書が…)が暗殺された日から17年目との事。


▼『サボガル(SABOGAL)』トレーラー

SABOGAL es un thriller judicial en 13 capítulos que, entre animación e imagen de archivo, nos sumerge en la lucha sin descanso de un hombre valiente por encontrar la verdad. Un experimento único en la televisión pública latinoamericana que no te puedes perder. Dirgida por Sergio Mejía y Juan José Lozano; Producida por Liliana Rincón. Una Producción de 3da2 Animation Studios para Canal Capital - Televisión más Humana y Financiada por la ANTV.

"A Sabogal le resulta inconcebible continuar con su vida normal mientras crímenes contra la dignidad humana se llevan por delante los sueños de los hombres y mujeres de su país en la más completa impunidad".

(拙訳)
『サボガル』は13章からなる司法スリラー。アニメーションとアーカイブされたイメージの中、勇敢な男による真実を見つける為の戦いに、我々は息をつく間もなく没頭する。見逃せない、ラテンアメリカ公共TVの、ユニークな実験だ。監督はセルヒオ・メヒーアとフアン・ホセ・ロサーノで、プロデューサーはリリアナ・リンコン。カナル・カピタル「Televisión más Humana(訳注1)」の為に3da2(訳注2)アニメーションスタジオが制作。出資はANTV(訳注3)。

「普通の暮らしを送る中、思いも寄らない事がサボガルに起こり続ける。最も完璧な無処罰の中、人間の尊厳に対する犯罪が、その国の男女の眠りの前にもたらされるあいだに。」


(訳注1)日本語にすると「より人間味のあるテレビ放送」。チャンネル名か番組名でしょうか。オンライン生放送をしてます。サイトは→こちら
(訳注2)「トレスダードス」と読むのでしょうか。サイトは→こちら
(訳注3)Autoridad Nacional de Televisiónの略で、日本語にするとテレビ放送国家機関。サイトは→こちら


 制作会社3da2アニメーションスタジオのブログ2015年4月28日付け記事(→こちら)によると、2015年2月22日のTVシリーズ放映後に長編アニメーション映画に作り替えられ、同年の仏アヌシー国際アニメーション映画祭のオフィシャルコンペティションに選ばれ、それはコロンビア映画で初との事。アヌシーの作品紹介ページは→こちら

▼アヌシー国際アニメーション映画祭の作品紹介ページより

A judicial thriller that takes us into a fascinating visual universe where Sabogal, lawyer and human rights defender, investigates several crimes against humanity in modern Colombia. With the country in crisis, the protagonist is in constant danger and fights relentlessly, almost obsessively, for justice.

(拙訳)
我々を、興味を駆りたてるビジュアルな世界へと導く、司法スリラー。弁護士であり人権擁護者であるサボガルは、現代のコロンビアで起こる、人道に対する様々な犯罪を調査する。危機に瀕した国で、主人公は絶えず危険な目に遭い、正義の為に、ほとんど取り憑かれたかのように、不断の戦いを続ける。


▼『サボガル』トレーラー(英語字幕)
Annecy 2015. Official Selection.Competition
SABOGAL is a fictional animated feature film anchored in Colombian reality, which immerses us in the history of violence, of hope and of impunity of the country of the 2000s.
It's in a hybrid format. It is a pioneer film in Colombia, with strong influences of the formal and narrative codes of comics and noir novels, that mixes animated imagery with archival imagery.
This project was lead by 3DA2 Animation Studios for Canal Capital (Bogotá. Colombia). 2015
Directed by Sergio Mejía & Juan José Lozano. Produced by Liliana Rincón

(拙訳)
アヌシー2015、オフィシャル・セレクション、コンペティション部門
「サボガル」はコロンビアの現実に深く結びついた架空の長編アニメーション映画で、我々を、暴力の、希望の、そして2000年代のこの国の無処罰の歴史の中へと没入させる。
「サボガル」は、ハイブリッドフォーマットである。コロンビアの先駆的な映画であり、その形態と物語のコードは漫画とハードボイルドから強い影響を受け、アニメーション化した画像とアーカイブされた画像を混合したものである。
このプロジェクトは、2015年、カナル・カピタル(ボゴタ、コロンビア)の為に、3DA2アニメーションスタジオによって指揮された。監督はセルヒオ・メヒーア&フアン・ホセ・ロサーノ。プロデュースはリリアナ・リンコン。


 恥ずかしながコロンビアに関する知識がほとんど無いのですが、それでも最近、左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との内戦が終結に向かっている報道はよく目にします(例えば、BBCニュース日本版2016年06月24日付け記事毎日新聞WEB2016年6月23日付け記事など)。半世紀にも及ぶ内戦との事、国や人々に大きな傷跡を残している事と思います。内戦の中で何が起こったのかを残しておくのは実に重要な事であり、このTVシリーズもまた、その一つでしょう。私にとっては言葉の壁が高いですが、何が語られているか知りたいと思いました。


 そして、コロンビアのTVアニメで内戦を取り上げた作品といえば、先日のアヌシー国際アニメーション映画祭のテレビシリーズ部門ノミネート作『Las niñas de la guerra(戦場の少女達)』も(→アヌシー公式サイトの作品紹介ページ)。


▼『Las Niñas de la Guerra』ティーザー

Las Niñas de la Guerra (Teaser) from HIERROanimación on Vimeo.


 …詳細はこれから調べようと思うのですが、このTVシリーズは子供向けなのでしょうか。とてもハードな物語ではないかと想像します。しかし、内戦の当事国に於いて、戦争というのは実に身近なものであり、だからこそTVアニメのシリーズが作られる、必要とされているのかも知れません。『SABOGAL』と『Las Niñas de la Guerra』、共に内容を理解するには言葉と予備知識の勉強が必要になりますが、同時代に地球の地続きで何が起こっていたのか、そして現在何が起きているのかを知る事で、他の国々を理解し、歴史の教訓とし、忌まわしい災禍を繰り返す事の無いように出来たらと思いました。


(最終更新日:2016年8月19日)


《当ブログ関連記事》
●『Sabogal』TVシリーズ、YouTubeで配信(2016/08/18)

2016/05/16

Atrapa la bandera(英題:『Capture the Flag』、邦題:『キャプチャー・ザ・フラッグ 月への大冒険!』)

 フランスで6月13日~18日に開催される、アヌシー国際アニメーション映画祭。そのコンペ外上映作品・長編アニメーション部門よりピックアップ(→作品紹介ページ)。題名が『Capture the Flag』と書いてありますが、原題は『Atrapa la bandera』で、スペインのLightbox Animation Studios社(→公式サイト)社制作のアニメ映画です。昨年2015年の夏に本国で公開され、翌2016年、第30回ゴヤ賞の最優秀アニメーション映画賞を受賞しました(→第30回ゴヤ賞受賞作品一覧)。本国でもヒットし、Paramount Picturesの配給で2016年内に25ヶ国に配給される予定だそうです。


▼Lightbox Animation Studios社の作品紹介ページ
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  • 監督:Enrique GATO BORREGÁN(エンリケ・ガト・ボレガン)
  • 制作国:スペイン
  • 制作年:2015年
  • 上映時間:1時間36h分


▼Atrapa la Bandera | Tráiler definitive

Atrapa la Bandera | Tráiler definitive
DE LOS CREADORES DE LAS AENTURAS DE TADEO JONES / LA AVENTURA / DESPEGA EN/ 3 / 2 / 1 / ATRAPA LA BANDERA / ESTRENO 28 DE AGOSTO EN 2D Y 3D
(拙訳)
旗をつかまえろ | トレーラー決定版
『タデオ・ジョーンズの冒険』の制作者による/冒険が/離陸する/3/2/1/旗をつかまえろ/8月28日上映 2D&3D


(あらすじ:ゴヤ賞の作品紹介ページより)

ATRAPA LA BANDERA cuenta la historia de Mike Goldwing, un valiente y decidido chico de 12 años, hijo y nieto de astronautas, que siempre ha soñado con ganar al juego de atrapa la bandera. Para poder reconciliar a su familia, que es lo que más desea, deberá atrapar la bandera más significativa de la historia: la que plantaron en la Luna los astronautas en la misión del Apolo XI. Con la ayuda de sus amigos Amy y Marty e Igor (un lagarto alocado y divertido), emprenderá una trepidante aventura junto con su testarudo abuelo Frank para detener el malévolo plan de Richard Carson, un millonario extravagante que, con el objetivo de colonizar la Luna, pretende borrar de la historia la gesta de las misiones espaciales.

(拙訳)
『旗をつかまえろ』はマイク・ゴールドウィングの物語。マイクは勇敢で毅然としたところのある12歳の少年で、宇宙飛行士の息子であり孫であり、いつも、旗をつかまえるゲームに勝つことを夢見ていた。一番の願いである家族の和解を可能にするために、マイクは歴史上最も特別な意味を持つ旗をつかまえなければならない。アポロ11号計画で宇宙飛行士達が月に立てた旗を。
友達のアミーとマーティーとイゴール(思慮分別がなくて愉快なトカゲ)の助けを得て、マイクは、頑固な祖父フランクと一緒に、ワクワクする冒険を開始する。常軌を逸した大金持ちであり、月の植民地化を目的とするリチャード・カルソンの、特殊任務の武勲を歴史から消去しようとする、邪悪な企みを阻止する為に。


●公式twitter
●公式FB


 スペインのamazonで、同制作会社の長編アニメ映画第1作『Las Aventuras De Tadeo Jones(タデオ・ジョーンズの冒険)』とのDVD2枚組セットが販売されているのを見つけたので(→こちら)、先日注文しました。本当に「Subtítulos para sordos: Español(耳の不自由な人の為の字幕:スペイン語)」というのが表示されるのかどうか、少し心配しています。
(2016年5月24日追記:amazon.esのカスタマレビューで現在☆1つのレビューが1件ありますが、これは、息子の為に英語で見せる為に購入したらカスティーリャ語とカタラン語のみでガッカリしたというもの。内容についてのコメントではありません。また字幕の件は、いざ届いて再生してみたら、2本とも表示されました。ただ、我が家のノートPCのせいかも知れませんが、なかなかDVDを認識してくれないので少々不安になります。取り急ぎ動作確認が出来たので、感想はまた今度。)


 …と、ここまで文章を入力して本国スペインのDVDを注文したのは随分前の事なのですが、その後、駐日スペイン大使館のツィッターを見て(→こちら)、日本でDVDが発売されるのを知りました。



 amazonの販売ページを見ると(→こちら)まあ、お値頃な価格。私のここまでの労苦は一体…、としょんぼりするかというとそうでもなくて、やっぱり、非・英語圏のアニメ映画のDVDが日本で発売される時、それは「英語版」になってしまうのですね(但し「三鷹の森ジブリ美術館ライブラリー」作品を除く)。英語は世界の共通語だからとは言え、それは悲しい。そもそも私が海外アニメを観るのは外国語の学習も兼ねているので、用いている言語にはこだわりがあるのです。紹介記事を愚直に拙訳しているのも、そのせい。しかしながら、時期に届くDVDに本当に西語字幕が入っているのか今の所確信が持てませんし、字幕が全て理解できるかどうかも自信がありません。なので、日本語入りのDVDは大歓迎です。先程のアマゾンの登録情報によると「言語: 英語, 日本語」という事は、吹き替えがつくのですね。日本版DVDが発売されるまでの予習になれば良いと思います。更に、いつの日か『Las Aventuras De Tadeo Jones』も日本でDVDが出ると良いですね。Lightbox Animation Studios社は先日ツィッターで(→こちら)、『Tadeo Jones 2』の制作を発表していました。2017年1月公開予定との事で、こちらもまた、完成が楽しみです。


(2016/05/24追記:タイトルと公開日が決定。『"Tadeo Jones 2: El Secreto del Rey Midas"(タデオ・ジョーンズ2:ミダス王の秘密)』というタイトルで、2017年8月16日公開だそうです。)


(最終更新日:2016年5月24日)

2016/05/13

Bilal

 フランスで6月13日~18日に開催される、アヌシー国際アニメーション映画祭。そのコンペ外上映作品・長編アニメーション部門よりピックアップ(→作品紹介ページ)。アラブ首長国連邦・ドバイのBarajoun社(→公式サイト)による制作。公式サイトによると、今度のカンヌ映画祭で上映されるそうですね。日本で観られる日が来るのはいつでしょうか。


▼『BILAL』公式サイト
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●公式FB
●公式twitter
●公式INSTAGRAM
●IMDB

  • 監督:Aiman JAMAL、Khurram H. ALAVI
  • 制作国:アラブ首長国連邦
  • 制作年:2015年
  • 上映時間:1時間50分


▼Bilal: A New Breed of Hero! Official Teaser Trailer # 1 - Animated Movie 2016

A THOUSAND YEARS AGO / FROM AN ANCIENT LAND LIKE NO OTHER / COMES THE STORY OF A YOUNG BOY AND HIS SISTER / IN A TIME OF TYRANNY / WHEN GREED AND INJUSTICE RULED ALL / ONE BOY WILL CHARENNGE EVERYTHING / BILAL / INSPIRED BY A TRUE STORY/
(拙訳)
千年前/他の何処とも異なる古代の国から/若者とその妹の物語がやって来る/暴虐の時代/貪欲と不正義が全てを支配する時/一人の少年が何もかも変えようとする/ビラール/実話に着想を得た

▼Bilal: A New Breed of Hero! Official Teaser Trailer # 2 - Animated Movie 2016
EVERY NOW AND THEN / COMES A STORY / THAT SHOWS THE STRENGTH OF HUMANITY / AND INSPIRES US TO REACH FOR THE STARS / AN ANCIENT TALE OF TWO CHILDREN / AND THEIR MOTHER / IN 2016 / TRAVEL BACK IN TIME / AND WITNESS THE BIRTH OF COURAGE / ONE BOY WILL CHALLENGE EVERYTHING / BILAL
(拙訳)
時折/物語は生まれる/それは人間の強さを見せる/そして我々が手の届かないものを得ようとするのを鼓舞する/二人の子供の/そして母親の昔話が/2016年に/時代をさかのぼる/そして勇気の誕生を目撃する/一人の少年があらゆる事にチャレンジする/ビラール

(あらすじ…YouTube動画に添付された文章より)
A thousand years ago, one boy with a dream of becoming a great warrior is abducted with his sister and taken to a land far away from home.
Thrown into a world where greed and injustice rule all, Bilal finds the courage to raise his voice and make a change.
Inspired by true events, this is a story of a real hero who earned his remembrance in time and history.
(拙訳)
千年前、偉大な戦士になる夢を抱いていた一人の少年は、妹と共に誘拐され、故郷から遠く離れた国に連れて行かれた。
貪欲と不正義が全てを支配する世界に投げ出され、ビラールは声を上げ、そして変革する勇気を手に入れる。
本当にあった出来事にインスパイアされた、これは、歳月と歴史の中にその記憶をとどめた、真実のヒーローの物語である


(最終更新日:2016年5月13日)

2016/05/06

「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」

 先日、東京・吉祥寺の「武蔵野市立吉祥寺美術館」にて「萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく」(→公式サイト→チラシPDF)を見てきました。5月29日(日)まで開催で、5月6日より一部展示入れ替えとの事です。


▼写真は、建物外観と撮影コーナー。撮影コーナーは、『百億の昼と千億の夜』の阿修羅王と『スター・レッド』のレッド・星。
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 SFに特化した原画展で、萩尾望都氏の約40年に渡る画業が一覧出来ます。原画ならではの迫力と凄み。そして、アナログ彩色ならではの緊張感。ただただ、圧倒されるばかりでした。いくつかの作品のイラストを見ていると、頭の中でストーリーが去来してきたものでした。漫画以外には小説のために描き下ろされた挿絵や表紙の原画も展示されていて、それらは初めて見るものばかりで、新鮮な感動がありました。掲載誌や書籍の展示もまた、往時の雰囲気が伺えて、興味深かったです。

 原画の展示によって初めて気付く事もあり、過去2回出た作品集の表紙イラストは原画もまた小さいサイズなのですね。実に細かい彩色でした。そして、『バルバラ異界』ではカラーページにPCを用いて彩色しているように思われたのですが、人物はアナログ彩色で、PCに取り込んで仕上げをしていた事を知りました。原画部分が拝見出来て良かったです。展示入れ替え後はまだ行っていないのですが、新しく拝見出来る原画がどのようなものなのか、楽しみです。


(最終更新日:2016年5月6日)

2016/04/29

「双六でたどる戦中・戦後」展

 先日、東京・九段下の「昭和館」にて「双六でたどる戦中・戦後」展(→公式サイト)を見てきました。
▼地下鉄構内の柱・昭和館入り口・脇と、あちこちで赤い色が目に飛び込んできます
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 会期は以下の2期に分かれていて、現在は第2期を開催中。
【第1期:時局・教育・広告を中心に】 平成28年3月19日(土)~4月10日(日)
【第2期:憧れ・流行り物を中心に】 平成28年4月12日(火)~5月8日(日)
だけど、5月1日(日)限定で、第1期で展示した双六を厳選して1日だけの展示会を開催するそうです。


 展示物は基本的には昭和の始め~30年代の双六、そして参考として江戸時代、明治、大正の双六が一つずつ、戦前の雑誌の付録やおもちゃが少々。双六には盤双六と絵双六があり、ここで展示されている双六は後者の方。ただ、参考展示の江戸時代のものだけは、上面に線を引いた木箱の上に白黒のコマが複数乗っていました。あれはどうやって遊ぶのか、想像がつきませんでした。


 冒頭の解説によると、双六は中国を起源として鎌倉時代には既に日本に存在し、江戸時代には正月の遊びとして定着し、印刷技術の発達によって大量印刷が可能になった事によって、明治時代には新聞・雑誌の付録となり、大正時代には雑誌の正月号付録として定番化したそうです。メインで展示されている昭和の双六は、大判の印刷物がフレームに入って、その脇に「ここに注目!」と書かれたミニ解説と、ものによっては関連する印刷物が添えられていました。


 昔の印刷物は色合いがくすんでいて、味わいがあります。紙質や発色が現在と異なり、また、退色もしているのでしょう。でも、正月向け商品という事で絵に気合いが入っているのが感じられますし、また、教育や宣伝を目的とした内容が盛り込まれていて、当時の世相が良く分かります。だからこそ、戦争を題材としたものや戦前のそういった思想が反映されたものはどうしても見ていて辛く感じられるのですが、戦後のものになると平和への願いが感じられるし、時代が新しくなるにつれて娯楽色が出て来るので、それらは見ていて心地よいものでした。やはり、戦争(及び戦争を必要とする傾向)は良くないですね。


 どの双六ももちろん絵に力が入っているのですが、ところどころ、今でも有名な漫画家が描いているものがあり、そこはどうしても注目してしまいます。日本のマンガの歴史の中で、双六をその一つとして位置づける論者もいます。そういう観点からも、なかなか興味深く、面白い展示でした。


(最終更新日:2016年4月29日)

2016/04/26

第18回 文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀書受賞作『PADRE』全編公開

 当ブログ2015年2月16日付け記事で取り上げた、第18回 文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀書受賞作『PADRE(パードレ、父の意)』。メディア芸術祭会場に設置されたモニターで観てから、1年少々が経過しました。


▼当時の展示物の一部(一番上の写真に見える人影は、恐らくセットの透明ケースに映り込んだ来場者の陰だと思います)
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 その短篇アニメーション『PADRE』(監督:Santiago 'Bou' GRASSOサンティアゴ・'ブー'・グラッソ、アルゼンチン・フランス、2013-2014年)が、先日、全編vimeoにupされました。英語字幕付き。(参照元:Arte y Animación公式FB

PADRE from opusBou on Vimeo.


 こうしてネットに上がったものをパソコンで至近距離で観返す事によって、あらためて胸が詰まる思いがしました。そして、メ芸会場で観た時のモヤモヤした疑問を晴らそうと、繰り返し観たり、ところどころ停止させたりしました。今、自分の考えをどうまとめたら良いか、思案中です。(以下白文字で)9分27秒過ぎの、窓の外の鳥達のイメージが実に不吉なのですが、これの意図する所というのは、もしかして、この娘は父親が何をしていたのか薄々感づいているのでは…?


 今年は、この短編映画の題材であるアルゼンチン軍政が始まって40年目の節目の年であり、また、今年の3月、オバマ大統領のアルゼンチン訪問に当たって、アメリカが関与した独裁に関する記録の機密を解除すると発表していました(参考:EL MUNDOEL PAÍS…オバマ大統領の訪問日が、まさに軍事クーデターから40年目の日だったのですね。)果たして、五月広場の母達が求めている真実は明らかになるのでしょうか。


(最終更新日:2016年4月28日)

2016/04/14

『父を探して』制作会社「FILME DE PAPEL」について

 当ブログ4月6日付け記事で取り上げた、ブラジルの長編アニメーション映画『父を探して(原題:O Menino e o Mundo、監督:Alê Abreuアレ・アブレウ、2014年ブラジル公開)』の制作会社「FILME DE PAPEL(紙のフィルムの意…?)」について


▼Filme de Papel(公式サイト)
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 ブログのtopページの下の方に会社紹介が載っているのですが、私はポルトガル語が分からないため、「Bing 翻訳」で葡語→西語に自動翻訳をして読んでみました。正しく読めているか自信は無いのですが、概略は以下の通り。

  • 1991年、アニメーションを制作する為に誕生。
  • 3本の短篇『SÍRIUS』『ESPANTALHO』『PASSO』を制作し、広島、アヌシー(フランス)、エスピーニョ(ポルトガル)、アニマ・ムンディ(ブラジル)、コルドバ(スペイン)等のフェスティバルで上映された
  • 2008年、初長編『GAROTO CÓSMICO』を制作。2009年にブラジルアカデミーの最優秀アニメーション賞を受賞した。
  • 文化省のアニメTV番組プロジェクト『VIVI VIRAVENTO』を共同制作。
  • 長編映画『O MENINO E O MUNDO』が完成したばかりで、2014年に公開予定。


 公式サイトには各作品の詳細な情報が掲載されています。そして、その「FILME DE PAPEL」社の公式チャンネルがYouTubeにあり(→こちら)、様々な関連動画やトレーラーがupされていて、どの動画も興味深いです。子供向けの作品とアーティスティックな作品が混在していて、『父を探して』に至る道筋が伺えます。


(最終更新日:2016年4月24日)

2016/04/06

アヌシー国際アニメーション映画祭と見本市がカンヌ映画祭の見本市に持ち込む4本のプロジェクト

●Annecy Goes to Cannes Programme
(記事前半部分の引用と拙訳)
As announced in February, Annecy has found yet another way to promote animated features by establishing a partnership with the Cannes Film Market and participating in the "Goes to Cannes" showcase. 

With Annecy Goes to Cannes, the Annecy Festival and Market are giving a handful of project leaders the chance to present the progress of their films and give their pitch in a new setting. The projects were selected from previous Mifa Pitch sessions.

2月にアナウンスした通り、アヌシーは「カンヌ国際見本市」と提携し「カンヌ映画祭行き」ショーケースに参加する事によって、更にもう一つの長編アニメーション映画を宣伝する道を見つけた。

「アヌシーのカンヌ映画祭行き」と共に、アヌシー国際アニメーション映画祭と見本市は、少数のプロジェクトリーダーに対して、新たな環境の元で、映画の進行を発表するのと売り込むチャンスを提供している。そのプロジェクトは、以前行われた「Mifa(アニメーション国際見本市)ピッチ(宣伝)会議」で選ばれた。


 アヌシーと共にカンヌへ行く4本の長編アニメーションプロジェクト。ツィッターに載っている画像に興味を抱いたので、少し調べてみました。取り急ぎ、関連リンクの箇条書きのみ。後で色々と書き足していきます。


◆Arara and the Guardians of the Amazon Rainforest
・Arara & The Guardian of the Amazon
・Arara - Catalan Films & TV
・Arara y el guardián de la selva | CURSO DE DESARROLLO DE PROYECTOS cinematográficos iberoamericanos


◆Funan
・Wanda Productions - Director - Denis Do
・FUNAN - Les Films d’ici
・Political animation: Interview with Denis Do, director of Funan


◆The Last Fiction
・The last fiction-Farsi trailer

・The last fiction-French trailer

・The Last Fiction (2017) - IMDb
・"The last fiction (animated feature)"
(公式サイトhttp://thelastfiction.com/は「Website Under Maintenance」との事。)


◆Loving Vincent
・Loving Vincent - first painted animation by BreakThru Films
・Loving Vincent - film brings the paintings of Van Gogh to life

・Loving Vincent - Official Trailer 2016

父を探して

 現在、渋谷のシアター・イメージフォーラム(→こちら)他で上映中の長編アニメーション映画『父を探して(原題:O Menino e o Mundo、監督:Alê Abreuアレ・アブレウ、2014年ブラジル公開)』について。


▼映画『父を探して』公式ホームページ
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▼長編アニメーション映画『父を探して』予告編

▼【特別公開】『父を探して』メイキング


▼Boy and the World(英語版公式サイト)
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●O Menino e o Mundo(葡語FB)
●O Menino e o Mundo(葡語blog)
▼O Menino e o Mundo (The Boy and the World) trailer 1

▼O Menino e o Mundo (The Boy and the World) trailer 2


●Alê Abreu(監督のブログ)


《あらすじ(公式サイトより)》

 親子三人で幸せな生活を送っていた少年とその両親。しかし、父親は出稼ぎにでるため、ある日突然、列車に乗ってどこかに旅立ってしまった。少年は決意する。「お父さんを見つけて、家に連れて帰るのだ」と。未知の世界へと旅立つ少年を待ち受けるのは、過酷な労働が強いられる農村や、きらびやかだが虚飾に満ちた暮らしがはびこり、独裁政権が戦争を画策する国際都市。
 それでも、少年は旅先で出会う様々な人々との交流と、かつて父親がフルートで奏でた楽しいメロディの記憶を頼りに、前へ前へと進んで行くーーー。


《感想等(ネタばれ有り)》
 様々な画材を用いて色とりどりに描かれたユーモラスな造形の世界。しかし、描かれているのは必ずしも美しい世界ではありません。

 実は今、この記事を書く為に公式サイトを読んでとまどっています(観る前にきちんと読んでいなかったので)。あの少年は確かに父を探しに旅に出たと思うのですが、「家に連れて帰るのだ」とまで考えていたのでしょうか。だって出稼ぎに行ってるのだから仕事の邪魔しちゃいけないし、家族の生活がかかっているのだし。そして、「一切のセリフもテロップも必要とせず」と公式サイトには書いてあるのですが、あの家族(というか夫婦)の会話はありましたよね。ただ、あれが人間の言葉になっているかどうか、私には判別出来ませんでした。ポルトガル語を知りませんし。ただ、身に覚えがあるのですが、幼い頃、母と上のきょうだいが何を言っているのかさっぱり分からなくて悲しい思いをしたものでした。だからきっと、あの少年の耳を通した両親の会話は、少年には理解不能なものだったのかも知れません。そういえば、少年の行く先、街の風景に使われていたコラージュに貼られていた印刷物(らしきもの)は文字が反転されていたのですが、あれもまた、まだ文字があまり分からない年頃の少年の目に映った風景を表しているのかも知れません。

 父がいなくなって、母と二人きりの家。意気消沈のあまり、少年は家族を描いた絵をトランクに入れて、父が乗ったのと同じ列車に乗り込みます。行く先々で出会う人々、目にする風景、それはとてもしょっぱいものです。最初に出会った年配の男性についていった先は、木綿栽培のプランテーション。ただでさえ年老いて体力も無いのに帽子を買うお金も無いほど貧乏だから精一杯働かざるを得ず、にもかかわらす現場監督からの無慈悲なリストラ。次に出会った青年は布を作る工場で働いているのですが、そこでも機械化による無慈悲な合理化。美しい色彩で描かれる、ちっとも美しくない社会科見学。働く人々は皆くたびれて、住む町並みもすすけた様相。それとコントラストを成すのがピカピカの高層ビル街や、けばけばしいコラージュで描かれた看板がひしめく都会の町並み。ブラジルの国技とも言えるサッカーでさえ、スタジアムで繰り広げられる試合の模様は人間味を欠いた喧噪の世界。

 そんな、貧しくくたびれた暮らしの中で時折繰り広げられるのが、美しく彩られた祝祭の数々。青年がこっそり工場で織るポンチョ。市場で披露する芸当。少年が初めて触る万華鏡。そして、通りを行進する大道芸人の一団。賑やかな音楽と色彩は、日頃の辛い生活に救いを与えてくれるかのようですし、それを祝福するかのように、大空にはカラフルな色をまとった巨大な鳥が舞っています。しかし、そんな人々の自由な振る舞いすら許さないという、悪意に満ちた弾圧と攻撃。華やかな消費社会の陰で進行する自然破壊。この辺りの描写には実写を交えていて、監督の強い訴えを感じ取ります。このアニメーション映画、ものすごく倫理的です。

 探し当てたかに見えた父の姿は、大勢の人々とは見分けがつかなくて、少年は結局、父を見つけられなかったんじゃないかと思われます。『千と千尋の神隠し』なら父が誰か突き止められたと思うのですが、ここでも無慈悲な結果となります。この映画、邦題は『父を探して』ですが、原題を直訳すると「少年と世界」であり、実は父の存在は希薄で、この映画のキモは、少年の目に映る世界の方ではないかと思えてきます。この邦題は日本のTVアニメ『母をたずねて三千里』を連想するのですが(にもかかわらずほとんど観た事が無いのですが)、この映画でも、少年(あるいは監督)にとって存在感が強いのは、父親よりも母親のようにと思われました。父を探す少年から、母の元を旅立つ青年へと、成長を見せる場面がありましたから

 しかし、この映画は少年の成長物語としては終わりません。年老いて田舎に帰り、そこには畑を耕す大人や子供達。空には例のカラフルな鳥が幼鳥となって羽ばたいているところを見ると、世界に平和が訪れた事を感じさせます。木の根元に座る元少年に去来するのは、あの懐かしい親子三人の姿。ラストシーンはとても渋いと思いました。

 ……以上、思った事をダーッと書き連ねてみたのですが、自分で書いた感想を読み返すと、何だかとても暗い話のような…。いやそうではなく、奥の深い物語なのだと思います。人々の暮らしとそれを取り巻く世界の様々な姿を織り込んだ、ときに美しく、ときにみにくく、それでも生き続ける、人と自然を描き上げた物語なのだと思いました。


(最終更新日:2016年4月24日)

2016/03/30

Tout En Haut Du Monde

 去る3月19日に東京アニメアワードフェスティバル2016で上映された長編アニメーション映画『Tout En Haut Du Monde』(監督:Rémi Chayéレミ・シャイエ、フランス・デンマーク合作、2015年、英題:Long Way North)について。


▼Tout en haut du monde - Bande-annonce


▼Tout En Haut Du Monde - Site officiel(仏語公式サイト)
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●TOUT EN HAUT DU MONDE | 上映プログラム | 東京アニメアワードフェスティバル2016
●Tout en Haut du Monde(仏語FB)
●TOUT EN HAUT DU MONDE, le blog(仏語blog)
●RÉMI CHAYÉ(レミ・シャイエ監督のブログ)
●diaphana ● Tout en haut du monde(仏配給会社の作品紹介)
●Sacrebleu Productions(制作会社website)
●Rémi Chayé Interview - Fantoche 2015 - CHTV(監督の英語インタビュー動画)
●Rémi Chayé Interview: ‘Long Way North’ and The Indie Challenge(監督の英語インタビュー記事)


《あらすじ(公式サイトより)》

1882, Saint-Pétersbourg. Sacha, jeune fille de l’aristocratie russe, a toujours été fascinée par la vie d’aventure de son grand-père, Oloukine. Explorateur renommé, concepteur d’un magnifique navire, le Davaï, il n’est jamais revenu de sa dernière expédition à la conquête du Pôle Nord. Sacha décide de partir vers le Grand Nord, sur la piste de son grand-père pour retrouver le fameux navire.

(拙訳)
 1882年、サンクトペテルブルク。ロシア貴族の娘サーシャは、祖父オルキヌの冒険生活にずっと憧れていた。有名な探検家であり、壮大な艦船ダヴァイ号の発案者でもある祖父は、北極を征服する最後の探検から戻ってくることは無かった。サーシャは祖父の航路をたどって北極へと出発する決心をする。問題の艦船を発見する為に。


《感想等(ネタばれ有り)》
(ところどころ記憶がおぼろげなので、仏映画公式サイトや配給サイトを見ながら補完しています。エピソードや固有名詞に間違いがあったらすみません。)

 2年前に北極を目指して出向したきり帰ってこない祖父。捜索船は出たが、それもまた行方知れず。祖父の名誉は地に墜ち、その名を冠した科学資料を集めた図書館は開館されない。父は大使の職を求めて娘を良家に嫁がせたい。社交界デビューの直前、娘は祖父の部屋から航路のメモを見つけ、それが捜索船がたどったものとは異なる事に気付く。再び捜索船を出して欲しいと娘は舞踏会の場で王子に懇願するが受け入れられない。王子の不興を買い、父からの叱責を受けた娘は、自ら祖父の居場所を突き止めようと決意する。――サーシャが目指すものは、は祖父との再会、遭難した艦船ダヴァイ号の発見、そして何よりも真実を突き止める為の旅だったと思います。その行程は苛酷なものであり、様々な困難が待ち受けています。北方行きの商船ノルジュ号に乗せて貰おうと船長の弟に話しを持ち掛けるが手違いで乗れずひと月待たされ、その間港の宿屋に泊めてもらうも調理や給仕といった未経験の仕事をしつつ貴族とは異なる暮らしを送り、ようやく船に乗り込んだ後に待ち受ける多くの試練。船乗りの経験も無く、しかも女性であるサーシャには大変な日々だっただろうと思うのですが、船員としての仕事を覚え、他の船員を助け、仲間の信頼を得ていく過程には、彼女の賢さと勇敢さが良く表れていて、感嘆させられました。

 原題『Tout En Haut Du Monde』を映画祭通訳の方は「世界の天辺」と訳していましたが、たどり着いたかに思えたそこは何も無い氷の世界であり、絶望の世界に感じられました。零下と飢えの極限状況の中で船員達との争いが起き、仲の良かった者からもののしられ、それでもくじけないサーシャの強さに感動とあこがれを覚えました。その強さと聡明さゆえ、サーシャは仲間の信頼を回復し、北極点に到達します(サーシャの方位磁石が回転していたので、そう判断しました)。最後、祖父が立てた小さな旗が風に飛んでいくのですが、本当に大事なのは未開の地を征服する野心や名誉ではなく、真実を目指し探求する過程にこそ意味があるのだというメッセージであると受け止めました。全体として、美しく感動的な物語だと思ったのですが、ネガティブな感想も少しだけありました。下の方にこっそり記しておきます。

 今回の映画祭の上映では、ゲストに絵コンテ・作画監督のハン・リヤン・ショー(Liane-Cho Han)氏を始めとするスタッフと、プロデューサーのロン・ディアンス(Ron Dyens)氏が来日されました。その時語られたコメントや質疑応答を、当時の内容を正確に再現出来てはいないのですが、私にとって印象が強かった部分を書き留めておきたく、メモを元に記します。

(ハン氏より)レミ・シャイエ監督は、西洋に良くありがちな作品と異なるものを狙った。展開の早いストーリー・くだらないジョークと正反対の知性で取り組んだ。詩情性のある作品を小さい子供でも理解する事を証明したかった。これはリスキーな賭けで、プロデューサーのロンさんだけがセンスの確かさで、この作品の可能性を信じてくれてた。そして、5歳の子供でも見て楽しんでくれた。常に同じ様なものでなくても子供は喜ぶことを証明してくれた。

(Q1:最初に発表されたティーザーよりもサーシャのデザインが幼くなっているが、変更の意図は?)
 ―当初はサーシャの唇が描かれている。しかし、制作の予算から出来る限り単純化して、モチーフを減らした。パイロットはフルアニメ・2コマ撮りで撮っているが、作監として入った時点から、とにかく情報量を減らすしかなかった。パイロットも本編もフラッシュで作っているが、作業を減らすために「シンボル」という機能を使った。アニメートも基本は3コマ撮りで、日本のアニメの制作の流れを参考にした。派手に動きまくるアニメーションではなく、感情に重点を置いた。

(Q2:作画の参考に3Dモデルを使っているか?)
 ―3Dモデルは乗り物(船・馬車・そり)だけ。人物には使っていない。

(Q3:色使いが深かった。色彩のコンセプトはどうやって決めたのか?)
 ―色は、美術監督で画家でもあるパトリス(Patrice Suau)の貢献が大きい。シーン毎の小さなスケッチで色のシステムを作り、プログラムで色のバランスがとれるようにし、本編の画像に配色出来るようにした。(←この辺りは理解が追いつかず、上手くメモがとれていません…)パトリスも監督も、20世紀初頭の電車内の広告(ここでカッサンドルの名前が挙がったような覚えがあるのですが、メモしておらず…)、印象派、ナビという美術の流れ(ナビ派を指していると思います。→参考:ここここここ等)に影響を受けている。

(Q4:サーシャの前髪が垂れる意図は?)
 ―キャラクター毎にシンメトリーがある。どのキャラクターかの判断をしやすくする為。これを壊す為に、髪の毛を一本だけ動かしている。

……、と、ここまで書いて、「アニメ!アニメ」にイベント・レポートが載っている事に気が付きました(→こちら)。最後の質問のシンメトリーに関しては「キャラデザは反転できるように左右対称としている。」との事です。また、映画祭コンペ審査員の方々のコメント等も載っていて、専門家ならではの見所に示唆を受けました。


 この記事の上の方に関連リンクを大量に載せていますが、現状日本語情報が少ないので参考になるかと思います。特に、フランスの映画公式サイトは概して長期間は置かれないので、一覧をお勧めします。「Carnet de voyage(旅の手帖)」はpdfファイルがダウンロード出来ますので(→こちら)探検の持ち物や航路をチェックしたり、ロープの結び方を練習するのも、将来何かの役に立つかもしれません。


《…ネガティブな感想(以下、白文字で書きます。読む際にはドラッグなどしてみて下さい)》
全部で3点あります。
・サーシャの友人の描写…冒頭でサーシャと一緒に祖父の名前を冠した(まだ開館していない)図書館に潜り込んだ、友達のナージャ(Nadya)という少女。地味なキャラデザインの上、言動がいかにも旧態依然な女子っぽくて、サーシャの引き立て役に見えました。物語の都合で配置された人物像に見えたのです。でも、ラストで帰港したサーシャを出迎えた姿は初登場の時よりも成長してるように見えましたし、友達思いの気立ての良さが感じられて、そこは好感が持てました。
・サーシャが丈夫すぎる点…全く船酔いしないし、大の大人がヘトヘトなのに平然としていられるのは、単に根性があるというだけではない不自然さを感じました。氷河で船が大揺れする場面では、見ている私の方が酔いました。また、技術的に難しいのかも知れませんが、サーシャ(を始めとする船員達)の服装が綺麗なままというのは、致し方ないと割り切るしかないのでしょうか。更に、凍傷や雪目の心配はしなくて良いのかとも思ったのですが、比較対象が幼少の頃に読んだマンガ『ジャングル大帝』のムーン山探検というのは反則でしょうか。TVアニメを通して見た事が無いのですが、その部分は原作通りには展開していないのですよね?
・サーシャとカッツ少年(Katch)の不用意な身体の接触…二ヶ所ありましたよね。航海したての時と、北極でサーシャが遭難したのを救助する時と。実際にそういう事態になった時にあり得る話と受け入れるべきなのかも知れませんが、好きでも無い男性とそういう接触をする場面を見るのは(そういう場面を観客として受け入れざるを得ないというのは)、あまり良い気がしませんでした。男性の観客が見ると、違う感想になるのでしょうか。以上です。

(最終更新日:2016年4月14日)


(当ブログ関連記事)
●『Long Way North(Tout En Haut Du Monde』英語版公式サイトとtwitterアカウント(2016/08/19)

2016/03/19

Ana Pirata

 前回のエントリでコロンビアのTV局で放映されている子供向け教育TVアニメを取り上げましたが、YouTubeでその動画をあれこれ探している内に、サイドバーに表示される関連動画で気になるアニメ作品がありました。「Ana Pirata(海賊アナ)」というタイトルで、コロンビアのアニメなのですね。少しづつ調べていきたいと思います。


●Ana Pirata and The Oranges Island


●Ana Pirata: la serie infantil colombiana que llega a Discovery Kids
●La Mar | Ana Pirata


制作会社「La Mar Media」の作品紹介より

DESCRIPTION
Ana, una niña tímida y sobreprotegida, se convierte en una pirata intrépida, decidida y aventurera cada vez que su bañera mágica se transforma en un barco corsario. Con Cua-cua su amistoso y fiel pato de hule, viven aventuras fascinantes, trabajan en equipo y resuelven problemas a través de estrategias. Ana Pirata demostrará que todos tenemos un valiente adentro, enfrentando los riesgos más temidos y los peligros jamás imaginados.

→FORMATO:
Serie de ficción animada con un gran componente musical.

→AUDIENCIA:
Niños de 4 a 6 años.

→PRIMERA TEMPORADA:
12 episodios de 6 minutos.

→OBJETIVOS:
Desafiar los estereotipos de género, dar herramientas a los niños para superar el miedo, promover la autoconfianza.

(拙訳)
作品解説
アナは内気で甘やかされて育った少女。魔法のお風呂が海賊船に変わる度に、大胆不敵で毅然とした向こう見ずな海賊に変身する。仲良しで忠実なゴム製アヒルのクアクアと共に魅惑的な冒険におもむき、チームワークで活躍し、作戦を組んで問題を解決する。海賊アナは、私達が持っている勇敢な内面や、より恐ろしい危機に立ち向かうところや、これまで見た事も無い危険の数々を見せることでしょう。

→形式:
素晴らしいミュージカルで構成されたフィクションアニメシリーズ

→視聴者:
4歳~6歳の子供

→第1シーズン:
6分×12話

→目的:
ジェンダーのステレロタイプに挑み、恐怖を乗り越える道具を与え、自分を信じることを奨励する。


(最終更新日:2016年4月24日…追記予定)

Puerto Papel

 日本時間で昨日、フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭オフィシャルセレクション、長編部門以外のコンペティション作品と、コンペティション作品の短篇部門が発表された模様です(→参考:公式ツィッターアカウント@annecyfestivalより)。実に沢山のアニメーション作品がノミネートされていますが、そこから気になった作品をピックアップしようと思います。


 まずはTVアニメ部門から「Puerto Papel(プエルト・パペル、紙の港の意?)」(→アヌシーの紹介ページ)。紙で出来たキャラクター達がユーモラスな表情をしているのが目を惹きました。また、チリ・ブラジル・コロンビア・アルゼンチンと、ラテンアメリカ4ヶ国合作というのも興味深い所です。ノミネートされているエピソードを見る事は出来ませんが、YouTubeに幾つかの動画がUPされていました。


●Puerto Papel - Lunes a viernes - 10:00 a.m. · 1:30 p.m. · 8:00 p.m.

 …「プエルト・パペルへようこそ!」以外のセリフが全然聞き取れませんが、番組の宣伝CMみたいです。昨年の12月7日月曜日から放映開始。動画をUPしているアカウントの「Mi Señal(ミ・セニャル、私の信号の意?、→サイト)」は、コロンビアの公共テレビ放送「Señal Colombia(セニャル・コロンビア)」の子供向け部門のようです(→参考:Mi Señalの紹介ページSeñal Colombiaのウィキペディア)。


 紙の質感がはっきりと見えるのが面白いのですが、どうやってアニメーションを作っているのだろう…。と思っていたら、メイキング動画が。パソコンでデザインして、切ったり貼ったり組み立てたり…、人形も舞台のセットも紙で作っているのだから恐れ入ります。紙の質感とは違い、人形を動かす為の金属の骨組みはがっしりしてます。
●Puerto Papel / Making of

 …動画をUPしている「Zumbastico Studios」は、このアニメの制作会社なのですね。サイトは→こちら。チリの会社だそう。作品一覧のサムネイルを見ると他の作品も面白そうで、後日改めてチェックしたいと思います。「Puerto Papel」の紹介ページは→こちら。12歳のマチルダは特殊能力を持っていて、毎日、新しく、並外れた、不条理なマジックパワーと共に目覚め、それはコントロールも選ぶのも出来ない。友達のカルロスだけが彼女の秘密を知っていて、一緒に「プエルト・パペル」という町で、とてつもない体験や、誤解を招くようなおかしな事をして暮らしているのだそうです。


 更に見つけた動画によると、サイトから図をダウンロードするとキャラクターの紙人形が作れるみたいなんですが、それぞれのエピソードに出て来る秘密のコードを書き留める必要があるとの事で(→こちら)、私がチャレンジするのは無理なようです。
●¡ESTRENO! Puerto Papel - Descarga los personajes con el código que aparecerá en el capítulo


(最終更新日:2016年4月6日)

2016/03/18

Historia de un oso(英題:Bear Story)

(↑拙訳:チリが2016年のオスカーで競合するアニメーションの背後に厳しい物語が有る)

(↑拙訳:ピノチェト体制の暴力についてのメタファーがチリ初のオスカーをもたらす)


 2月28日(現地時間)に第88回アカデミー賞が発表され、短編アニメーション賞は「Historia De Un Oso(英題:Bear Story、或る熊の話)」が受賞したとの事(→参考:映画.com)。BBC電子版西語版では、授賞式の前にノミネート情報として記事をupし、受賞発表後に加筆修正をしていました(→こちら)。チリの映画がアカデミー賞にノミネートされるのは2013年外国映画賞部門の『NO』以来なのだそうです。短編アニメーションにノミネートされた競合作品の中にはピクサー・アニメーション『ボクのスーパーチーム(→映画.comの作品紹介)』もあり、上記BBC電子版西語版によると、Gabriel Osorio(ガブリエル・オソリオ)監督は「我々はピクサーと競合していて、それはとんでもないことだ。我々は違うレベルのアニメーターで、ピクサーはアニメーションのオリンポスだ。想像してごらん、我々の短篇にかかった費用は4万ドルで、その金額で彼らは映画の一秒分を作る」と笑いながら語ったそうです。しかし、そのような冗談めいたコメントとは裏腹に、この短編アニメーション作品は、どてもハードな背景を持った物語だそうです。


▼『Bear Story(原題:Historia de un oso)』英語版公式サイト
bear_story_web_official.jpg


▼Trailer BEAR STORY / HISTORIA DE UN OSO

Trailer BEAR STORY / HISTORIA DE UN OSO from Punkrobot Studio on Vimeo.


 上記BBC電子版西語版記事にも公式サイトの「about」「DIRECTOR'S STATEMENT」欄にもある通り、この物語は監督の祖父の亡命にインスパイアされているとの事。1973年のピノチェト独裁政権下のチリで拘留され、2年間投獄された後にイギリスに逃れ、家族と離れて亡命していたとの事。監督は幼い頃、死んではいないけれど、生まれ今までに姿を見せない、いない祖父の目に見えない存在を感じていたのだそうです。


 この作品が今後日本で上映されるかどうか分かりませんが、もし観る事が出来た時、チリとは遠く離れた国に生まれ育った私はどのように感じるでしょうか。もしこの背景を知らずに見たら?スクリーンで観る日が来る事を祈ります。