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2016/03/19

Puerto Papel

 日本時間で昨日、フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭オフィシャルセレクション、長編部門以外のコンペティション作品と、コンペティション作品の短篇部門が発表された模様です(→参考:公式ツィッターアカウント@annecyfestivalより)。実に沢山のアニメーション作品がノミネートされていますが、そこから気になった作品をピックアップしようと思います。


 まずはTVアニメ部門から「Puerto Papel(プエルト・パペル、紙の港の意?)」(→アヌシーの紹介ページ)。紙で出来たキャラクター達がユーモラスな表情をしているのが目を惹きました。また、チリ・ブラジル・コロンビア・アルゼンチンと、ラテンアメリカ4ヶ国合作というのも興味深い所です。ノミネートされているエピソードを見る事は出来ませんが、YouTubeに幾つかの動画がUPされていました。


●Puerto Papel - Lunes a viernes - 10:00 a.m. · 1:30 p.m. · 8:00 p.m.

 …「プエルト・パペルへようこそ!」以外のセリフが全然聞き取れませんが、番組の宣伝CMみたいです。昨年の12月7日月曜日から放映開始。動画をUPしているアカウントの「Mi Señal(ミ・セニャル、私の信号の意?、→サイト)」は、コロンビアの公共テレビ放送「Señal Colombia(セニャル・コロンビア)」の子供向け部門のようです(→参考:Mi Señalの紹介ページSeñal Colombiaのウィキペディア)。


 紙の質感がはっきりと見えるのが面白いのですが、どうやってアニメーションを作っているのだろう…。と思っていたら、メイキング動画が。パソコンでデザインして、切ったり貼ったり組み立てたり…、人形も舞台のセットも紙で作っているのだから恐れ入ります。紙の質感とは違い、人形を動かす為の金属の骨組みはがっしりしてます。
●Puerto Papel / Making of

 …動画をUPしている「Zumbastico Studios」は、このアニメの制作会社なのですね。サイトは→こちら。チリの会社だそう。作品一覧のサムネイルを見ると他の作品も面白そうで、後日改めてチェックしたいと思います。「Puerto Papel」の紹介ページは→こちら。12歳のマチルダは特殊能力を持っていて、毎日、新しく、並外れた、不条理なマジックパワーと共に目覚め、それはコントロールも選ぶのも出来ない。友達のカルロスだけが彼女の秘密を知っていて、一緒に「プエルト・パペル」という町で、とてつもない体験や、誤解を招くようなおかしな事をして暮らしているのだそうです。


 更に見つけた動画によると、サイトから図をダウンロードするとキャラクターの紙人形が作れるみたいなんですが、それぞれのエピソードに出て来る秘密のコードを書き留める必要があるとの事で(→こちら)、私がチャレンジするのは無理なようです。
●¡ESTRENO! Puerto Papel - Descarga los personajes con el código que aparecerá en el capítulo


(最終更新日:2016年4月6日)

2016/03/18

Historia de un oso(英題:Bear Story)

(↑拙訳:チリが2016年のオスカーで競合するアニメーションの背後に厳しい物語が有る)

(↑拙訳:ピノチェト体制の暴力についてのメタファーがチリ初のオスカーをもたらす)


 2月28日(現地時間)に第88回アカデミー賞が発表され、短編アニメーション賞は「Historia De Un Oso(英題:Bear Story、或る熊の話)」が受賞したとの事(→参考:映画.com)。BBC電子版西語版では、授賞式の前にノミネート情報として記事をupし、受賞発表後に加筆修正をしていました(→こちら)。チリの映画がアカデミー賞にノミネートされるのは2013年外国映画賞部門の『NO』以来なのだそうです。短編アニメーションにノミネートされた競合作品の中にはピクサー・アニメーション『ボクのスーパーチーム(→映画.comの作品紹介)』もあり、上記BBC電子版西語版によると、Gabriel Osorio(ガブリエル・オソリオ)監督は「我々はピクサーと競合していて、それはとんでもないことだ。我々は違うレベルのアニメーターで、ピクサーはアニメーションのオリンポスだ。想像してごらん、我々の短篇にかかった費用は4万ドルで、その金額で彼らは映画の一秒分を作る」と笑いながら語ったそうです。しかし、そのような冗談めいたコメントとは裏腹に、この短編アニメーション作品は、どてもハードな背景を持った物語だそうです。


▼『Bear Story(原題:Historia de un oso)』英語版公式サイト
bear_story_web_official.jpg


▼Trailer BEAR STORY / HISTORIA DE UN OSO

Trailer BEAR STORY / HISTORIA DE UN OSO from Punkrobot Studio on Vimeo.


 上記BBC電子版西語版記事にも公式サイトの「about」「DIRECTOR'S STATEMENT」欄にもある通り、この物語は監督の祖父の亡命にインスパイアされているとの事。1973年のピノチェト独裁政権下のチリで拘留され、2年間投獄された後にイギリスに逃れ、家族と離れて亡命していたとの事。監督は幼い頃、死んではいないけれど、生まれ今までに姿を見せない、いない祖父の目に見えない存在を感じていたのだそうです。


 この作品が今後日本で上映されるかどうか分かりませんが、もし観る事が出来た時、チリとは遠く離れた国に生まれ育った私はどのように感じるでしょうか。もしこの背景を知らずに見たら?スクリーンで観る日が来る事を祈ります。