2016/03/18

Historia de un oso(英題:Bear Story)

(↑拙訳:チリが2016年のオスカーで競合するアニメーションの背後に厳しい物語が有る)

(↑拙訳:ピノチェト体制の暴力についてのメタファーがチリ初のオスカーをもたらす)


 2月28日(現地時間)に第88回アカデミー賞が発表され、短編アニメーション賞は「Historia De Un Oso(英題:Bear Story、或る熊の話)」が受賞したとの事(→参考:映画.com)。BBC電子版西語版では、授賞式の前にノミネート情報として記事をupし、受賞発表後に加筆修正をしていました(→こちら)。チリの映画がアカデミー賞にノミネートされるのは2013年外国映画賞部門の『NO』以来なのだそうです。短編アニメーションにノミネートされた競合作品の中にはピクサー・アニメーション『ボクのスーパーチーム(→映画.comの作品紹介)』もあり、上記BBC電子版西語版によると、Gabriel Osorio(ガブリエル・オソリオ)監督は「我々はピクサーと競合していて、それはとんでもないことだ。我々は違うレベルのアニメーターで、ピクサーはアニメーションのオリンポスだ。想像してごらん、我々の短篇にかかった費用は4万ドルで、その金額で彼らは映画の一秒分を作る」と笑いながら語ったそうです。しかし、そのような冗談めいたコメントとは裏腹に、この短編アニメーション作品は、どてもハードな背景を持った物語だそうです。


▼『Bear Story(原題:Historia de un oso)』英語版公式サイト
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▼Trailer BEAR STORY / HISTORIA DE UN OSO

Trailer BEAR STORY / HISTORIA DE UN OSO from Punkrobot Studio on Vimeo.


 上記BBC電子版西語版記事にも公式サイトの「about」「DIRECTOR'S STATEMENT」欄にもある通り、この物語は監督の祖父の亡命にインスパイアされているとの事。1973年のピノチェト独裁政権下のチリで拘留され、2年間投獄された後にイギリスに逃れ、家族と離れて亡命していたとの事。監督は幼い頃、死んではいないけれど、生まれ今までに姿を見せない、いない祖父の目に見えない存在を感じていたのだそうです。


 この作品が今後日本で上映されるかどうか分かりませんが、もし観る事が出来た時、チリとは遠く離れた国に生まれ育った私はどのように感じるでしょうか。もしこの背景を知らずに見たら?スクリーンで観る日が来る事を祈ります。